梅仁豆腐を作ってみた話。

「梅は食うとも核（さね）食うな、中に天神寝てござる」

梅の中には天神様がいらっしゃいます。

天神様とは「仁」のことです。小さい頃は天神さんと教えられました。よく梅干しの種を噛み割って天神様を食べたものです。

核食うな…若い梅には毒があるからです。幼い青梅には果肉にも種にも青酸配糖体という、糖と青酸が結合した物質が含まれているようです。コレが毒の正体ですね。この青酸配糖体が、種には果肉よりも10〜20倍多く含まれているらしく、このことから「核食うな」と言われるようになったのです。

それでもかなりの量を食べなければ死に至ることは無いようです。大奥〜華の乱〜で、小池栄子ちゃん演じるお伝の方が、「青い梅などでは人は死なぬ！」って言ってたことを思い出しますねぇ。

何故、幼い梅が毒を持つのか？それは幼い梅は、自分の未成熟な種を守るために毒を持つのです。大人になって、種が硬くなったら守る必要がなくなるので、毒が無くなっていくのです。…なんか…素敵。

青い梅には毒が有りますが、熟したり加工したりすると無毒化されます。我が家の梅酒の梅の天神様ももう大人しくなっていることでしょう。

ここから本題。

杏仁豆腐の「仁」は杏の「仁」のこと。杏も梅も見た目似てるし、梅の「仁」でも杏仁豆腐みたいなん作れんちゃうの？ってことで、作ってみました、梅仁豆腐。

では、駆け足でいきます。

一昨年仕込んだ梅酒の梅を使います。

美味しそう…だけど食べるの我慢して種を取り出します。

コレがなかなか手強い。果肉が思うように外れないのよ。ナイフを使って切り目を入れて剥く感じでやります。

ぶにゅぶにゅしてやりにくいなぁ…果肉が種にまとわりついて上手く取れないし…キーッ！！

と、既に心が折れかかってます(T ^ T)。

あとで調べたところ、果物には果肉から種が離れやすい離核性と、離れにくい粘核性と、さらにその中間の半粘核性のものがあるとのこと…そんなん知らんがな…で、杏は離核で梅は粘核。

むむむ、見た目は似てても性格が違ったのか…おるな…人間にも。見た目で判断しちゃいかん！

悪戦苦闘の末、種を取り出した。約40個。

青梅の時に1㎏あったものが、種だけだとわずか176g…まぢか…(ｰ ｰ;)。

とりあえず割って天神様を取り出すぜ。

ペンチで挟んで…ふんがぁっ！！かってぇよ！！

天神様おわしました。

さらに天神様の薄皮を脱がせます。

つるんっと。

薄皮を剥くと半分に割れちゃう。

この作業を40回繰り返して…天神様の体重測定です。

…16g……(￣◇￣;)。

これ、足るのか？？

ってわけで、さらに1㎏分追加。

ぶにゅぶにゅしてやりにくいなぁ→キーッ！→ふんがぁっ！！→つるんっ→ぶにゅぶにゅしてやりにくいなぁ→キーッ！→ふんがぁっ！！→つるんっ→ぶにゅ……

これを再び40回。

天神様、合計で31gになりました。

酒焼けした天神様…色が悪いよ(T ^ T)。

薫りを嗅ぐと…梅酒だなこりゃ。梅酒の香りしかせん！酒臭ぇよ天神さんよぉ！

もうね、この時点で既に嫌な予感しかしなかったのよ((((；ﾟДﾟ)))))))。だって、梅酒の香りしかしないのよ？色も白く無いのよ？無理でしょ。

しかし、やるしか無いぜ！！…とは言うものの、完成品の良いイメージ少しも湧かず、この後の作業のテキトーさが加速度的に増していきます…。

テキトーな水と天神様をフードプロセッサーに。

砕く。わぁ、きな粉を水で溶いたみたーい。

茶漉しで濾す

…もはや、写真を撮ることすら忘れている。

牛乳300mlと混ぜる。計量もプロテインを飲む時の容器で…。

天神エキスと牛乳を合わせて混ぜる。

お湯で溶かしたゼライスを混ぜる。硬めが好きなので、粉のやつ2袋。もう何mlの水で溶かしたか記憶にございません。

こうなると、もう固まれば成功って心境。

冷やしてる間に、梅酒に砂糖を加えて煮詰めてシロップを作ります。果肉も少しだけ一緒に煮詰めていきます。

…写真無い。もう、完全にやっつけ仕事だ。

固まったらいよいよ実食！！

ほ〜ら。見た目は普通にできました〜！！

食べた感想。

無味無臭。

無味無臭です。

無味無臭デス。

無味無臭Death。

なーんの味も香りもしやしねぇ。梅酒の香りすらしねぇ。牛乳ゼリーの方が絶対美味ぇ。でも、シロップは美味ぇ。

今回わかったこと。

梅酒の梅では梅仁豆腐は作るな！

手間をかけても美味くならぬものがある！

素直に杏仁豆腐を食べよう！！

ってことでした。

最後に、作って大後悔！秘伝の梅仁豆腐レシピを大公開！！

【梅仁豆腐】

梅酒の梅…約2㎏

取り出した仁…約31g

牛乳…300ml

水…それなりの量

ゼライス（ゼラチンパウダー）…10g

【梅シロップ】

梅酒…それなりの量

砂糖…それなりの量

興味のある方は是非。